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イベント企画の仕事とは?プロ野球イベントの裏側を紹介!

イベント企画の仕事とは?プロ野球イベントの裏側を紹介!

プロ野球イベント企画の仕事

イベント企画のお仕事とは? イベント関係者以外はイベントの裏側に触れる機会はあまりありませんが、今回はプロ野球イベントの裏側の仕事を紹介していきます。  

 

コテコテのファンもビギナーも大事なファン

プロ野球球団というのは、産業分類の中では第三次産業(サービス業)の中に分類され、主に観客からのチケット収入で成り立っているもので、サービスの提供が屋台骨になっているものです。 そのため、プロ野球球団のお客様といえば、球場に足を運んでくれる観客や、ネット販売でグッズ購入してくれる方の他、スポンサーとなる地元企業や地元の自治体も該当します。

 

 FA(フリーエージェント)制度が開始されてからというものプロ野球選手の年俸が上昇傾向にあります。

しかし、その年俸を払うための原資であるチケット代金の収入についてシーズンは6か月間しかなく、その半数しか主催試合はありません。また、球場座席のキャパが限られているため、球団としては、全試合満員を目指すのは当たり前となっています。  

 

以前ある球団が、来場者にアンケートを取った結果、大都市に本拠地があるのに「今回初めて球場に来た」という観客が多数いることがわかりました。これは、コアなファンだけが球場で観戦していることの現れです。球団としては、観戦に来てもらえるのはありがたいが、コテコテのファンだけが集う場にしたいという思いはありません。 初めての方など、広く地域の方に支えられる球団こそが長続きする秘訣だからです。  

 

選手が関係するイベントとはどんなもの?

イベントと言っても大きく分けて2つの種類があります。

選手が関係するイベントと、選手が関係しない球場への観客誘致イベントです。  

 

ここでは、選手が関係するイベントにフォーカスしてみます。 まず、選手が関係するイベントでは、シーズン中に行うイベントとシーズンオフに行うイベントがあります。シーズン中に行うイベントは、主に試合中に行われます。  

 

試合前や、始球式、5回裏などグラウンド整備中のイベントなどがあげられます。試合中のイベントは、秒刻みのスケジュールで動くため、イベントの企画をする職員は神経を使います。一番気をもむのが、始球式です。タレントやお笑い芸人が始球式をする際は、ついついマウンドで「持ちネタ」を事前の連絡なくやってしまうものです。見ている選手、観客には受けますが、職員と審判員はアクシデントを見る冷めた目となります。試合開始を遅らせると球団は、厳しく指導を受けるからです。  

 

以前横浜スタジアムで柳沢慎吾さんが始球式をした際は、マウンドでなかなか投球せず、見ていて冷汗が出ました。あまりに長い始球式は、選手の集中力に影響が出るため嫌う先発投手もいます。   このように、基本的にシーズン中は、野球に集中してもらうため、球団から選手にイベントに行くよう指示をすることはまずありません。万が一、イベントに出てケガでもすれば、大変なことになりますから。しかしながら、球団と自治体、スポンサーとの関係で現役選手がシーズン中にイベントに参加することがまれにあります。  

 

広島東洋カープでは、5月のGW期間中に広島市中心部で行われる「ひろしまフラワーフェスティバル」に自動車メーカー「MAZDA」のブースに毎年選手を数名派遣しています。1軍選手は、GW期間中は毎日試合がありますから、主には2軍選手のうち、将来有望な若手選手が派遣されています。ここで選手のファンになって球場で応援してみようというファンができれば、球団としてはうれしいものです。ただこういうイベントでは、球団職員、企業の社員、民間警備員フル動員して選手の警備に当たります。選手とともに地域のお祭りを盛り上げることも球団イベントとして大事なことなのです。  

 

イベントで選手が元気をもらっている?

一方でシーズンオフのイベントについては、選手が自由に参加できます。選手の契約は、11月末までなので12月は、契約期間外となります。そのためファン感謝イベントは11月末までにやらないと選手が集まらなくなるため、なんとしても11月中にやります。ファン感謝イベントの準備は毎年7月くらいから始まりますが、球団だけではさばき切れないため広告代理店やテレビ局などに外注しているところもあります。  

 

また、あまり表には出ないのですが、プロ野球球団のイベントとして地域が元気になるような活動に熱心に取り組む球団もあります。こちらは、球場に来てほしいという腹心があるものではなく、純粋に元気づける活動です。球団のホームページで公開されることは少ないのですが、地域の福祉施設、病院を慰問してふれあい活動を数多くしています。毎年同じ老人福祉施設に訪問しているある選手の話で、「毎年いたあの名物おばあちゃんが、今年姿が見えなかった。去年は、『テレビで応援するから頑張るのよ』と言ってくれていた。ほんとに切ない」と言っていました。その選手は、「地域のみなさんを元気づけていたつもりだったのに、実は、僕が地域から元気をもらっていたことに気づいた」と。  

 

このようにプロ野球球団は、まぎれもなくファンに支えられています。ファンのためになるイベントは、巡り巡って選手を支えているものです。球団は、そんな地域の声と選手の思いを受け止め、イベントを実現できるように様々な調整を日々行っています。選手の安全と、試合のスムーズな進行をベースとして、地域の期待に最大限こたえています。今のプロ野球人気は、球団職員の地道な仕事の積み重ねの結果です。